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2025. 11. 13

「AIを活用したブランド構築の7ステップ」に学ぶ3つの重要ポイント

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「AIを活用したブランド構築の7ステップ」に学ぶ3つの重要ポイント

AIをブランディングにどう活かすべきか?

近年、AI(人工知能)技術の進化は目覚ましく、マーケティングや業務効率化の分野で欠かせないツールとなりつつあります。しかし、企業の「顔」とも言えるブランディングにおいて、AIをどう活用すべきか悩んでいる中小企業の経営者や人事広報担当者様も多いのではないでしょうか。

「AIに任せたら、自社らしさが失われるのではないか?」
「そもそも、どこから手をつければいいのか分からない」

AIは単なる効率化ツールではありません。正しく実装すれば、リソースが限られる中小企業にとって、ブランドの一貫性を保ち、顧客体験を飛躍的に向上させる「強力な支援ツール」となります。しかし、AIは「魔法の杖」ではなく、それ自体が戦略を立てるわけではありません。AIがその真価を発揮するのは、体系化された確かなブランド構築プロセスに組み込まれた時です。

本記事では、数々の企業のブランディングを手掛けてきたID INC.(アイディ株式会社)が確立した「ブランド構築の7ステップ」(※)のプロセスに基づき、中小企業がAIを本格活用するための「3つの重要ポイント」を詳細に解説します。

(※)「ブランド構築の7ステップ」は、ID INC.が策定したブランド構築の標準プロセスを示すフローチャートです。

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AI活用の大前提:「ブランド基盤」こそがAIの「学習の土台」である

AI活用を議論する前に、まず最も重要な大前提があります。それは、AIがどれほど優秀でも、それ単体では「自社らしさ」を生み出すことはできない、という事実です。AIが「らしさ」を学習し、一貫したアウトプットを生成するためには、AIが参照すべき「明確な指針」、すなわち「ブランドの定義」が必要です。

これが、ID INC.の「ブランド構築の7ステップ」における「Step 4: 『ブランド基盤』を作る」に他なりません。AIを導入する前に、まず企業(人間)が徹底的に議論し、以下の要素を言語化・可視化する必要があります。

  1. ブランド方針:
    • ミッション・ビジョン・バリュー(MVV):企業の存在意義、目指す未来、守るべき価値観。
    • ストーリー:創業の想いや背景にある物語。
    • スローガン:社内外に示す「掛け声」となる理念。
  2. ブランドビジュアル:
    • ロゴマーク、ブランドカラー、フォント:視覚的な「らしさ」のルール。
  3. ブランドパーソナリティ:
    • ブランドを「人」に例えた時の性格(例:誠実、革新的、親しみやすい、堅実など)。これはAIの「話し方(トーン&マナー)」の直接的な指示書となります。
  4. 顧客ターゲットと提供価値:
    • 「誰に」「どのような独自の価値」を届けるのか、という戦略の中心。

この「ブランド基盤」という基本方針が曖昧なままAIを導入すれば、AIは一貫性のない、誰の心にも響かないアウトプットを量産してしまいます。

なお、このブランド基盤をまとめ、管理するには、基礎知識の学習からチーム内でのブランド基盤共有までを一貫して行える、ID INC.が提供するオンラインブランディングツール「brandcommit」を活用するのもお勧めします。

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【重要ポイント1:戦略】AIを「リサーチ・分析パートナー」として活用する(Step 3: リサーチ・分析)

ブランド基盤という「土台」を定める上で、その判断材料となるのが「リサーチ・分析」です。AI活用における最初の重要なポイントは、「戦略策定の最上流」でAIの分析能力を活用することです。

ID INC.のプロセスでは、ブランド基盤を作る直前に「Step 3: リサーチ・分析」を行います。このステップは、AI活用が推奨される領域です。従来、このフェーズはコンサルタントや担当者の知見と膨大な手作業に依存していました。AIは、このプロセスを劇的に変革します。

  • PEST分析の自動化: 世界中のニュース、業界レポート、政策文書をAIが瞬時に読み込み、「自社業界に影響を与える政治的・経済的・社会的・技術的要因」を客観的に抽出・要約します。
  • クロスSWOT分析の深化: 競合他社のウェブサイト、SNS、決算資料、さらには顧客レビューをAIが網羅的に分析。「競合の強み×自社の弱み」といった脅威だけでなく、「市場が気づいていない自社の強み」といった機会(インサイト)を発見します。
  • STP分析の精度向上: SNSの投稿や顧客アンケートの「生の声(定性データ)」をAIが解析。従来では見過ごされていたニッチな顧客セグメントや、顧客自身も言語化できていない潜在的ニーズを可視化します。

AIを「戦略の立案者」としてではなく、「優秀なリサーチ・分析パートナー」として活用すること。AIが提示した客観的データに基づき、「人間」がブランド基盤(ブランドの定義)を策定する。これが、ID INC.が提唱するAI時代の戦略策定です。

【重要ポイント2:実行】AIを「ブランドの代弁者」として育てる(Step 5: 「伝え方」を考える)

ブランド基盤が定まったら、いよいよそれを「実行」に移します。AI活用の第二の重要なポイントは、ブランドの「代弁者」としてAIを実装することです。ID INC.の「Step 5: 『伝え方』を考える」では、伝える対象を「内部(インナー)」と「外部(アウター)」に分けて整理します。AIの活用も、この両面で考えることが極めて重要です。

1. 外部(アウター)へのAI活用:一貫した顧客体験の実現

これは、ブランドパーソナリティ(AIの性格)と提供価値(AIが話す内容)を顧客接点に実装するフェーズです。中小企業が陥りがちな「担当者による対応のバラツキ」を、AIが解消します。

  • 顧客対応のトーン統一: 定義したパーソナリティ(例:「誠実」かつ「親しみやすい」)に基づいた対話シナリオをAIに生成させます。チャットボットやメール返信に活用することで、誰が対応してもブランドイメージを損なわない一貫した顧客体験が可能になります。
  • コンテンツ生成の「らしさ」担保: ブログ記事、SNS投稿、広告コピーを作成する際、AIにブランド基盤を指示します。「この価値観に基づき、このターゲットに向けて、この性格で書いて」と命じることで、ブランドの軸からブレないコンテンツを効率的に作成できます。
2. 内部(インナー)へのAI活用:ブランドの「24時間動く辞書」

強いブランドは、社内(インナー)から強固です。AIは、この「理念浸透」を強力にサポートします。

  • 社内ナレッジAIの構築: 「Step 5」で作成する「ブランドブック」や「社内報」の内容、そして「Step 4」で定義したMVVや行動指針をすべてAIに学習させ、社内専用AIチャットボットを構築します。
  • ブランド体現の促進: 従業員が「こんな時、どう振る舞うべきか?」「このお客様への提案はブランド方針に合っているか?」と迷った時、AIが「ブランドの辞書」として即座に回答します。これにより、判断基準が統一され、理念の「お題目化」を防ぎ、日々の業務におけるブランド体現を促進します。

【重要ポイント3:改善】AIを「冷静な評価者」として活用する(Step 7: 評価と改善)

ブランドは「作って終わり」ではありません。ID INC.のプロセスでは「Step 6: 『ブランド戦略』を実行する」の後、必ず「Step 7: 評価と改善」というサイクルが組み込まれています。AI活用の第三の重要なポイントは、この「評価」フェーズでAIを客観的な分析者として活用することです。

  • 定量的データの分析: 「Step 7」の指標(メルマガ開封率、ウェブサイト訪問、資料ダウンロード、購入数など)の変動をAIが時系列で分析。どの施策がブランド認知や購買に貢献したかを客観的に評価します。
  • 定性的データの可視化: 「Step 7」の「ヒアリング(営業・マーケ・人事)」で得られた定性的なフィードバック(顧客の声、社員の所感)をAIがテキスト分析。個人の主観や声の大きさに左右されない、「組織全体の総意」や「顧客が本当に感じていること」を可視化します。

AIは、成功に沸き立つことも、失敗に落ち込むこともありません。ただ淡々とデータを分析し、「ブランド基盤(ブランドの定義)」と「実行(現実)」の間にどれだけのギャップがあるかを提示します。このAIによる冷静な評価こそが、次の「Action(改善)」の質を高め、ブランドを継続的に成長させるのです。

AIは「思考停止」の道具ではなく、「ブランドを加速させる」有効なツール

本記事で解説したように、AI×ブランディングは、AIにすべてを任せて「思考停止」することではありません。

ID INC.の「7ステップ」という体系化されたプロセスにおいて、

  1. AIが「リサーチ(Step 3)」の精度を上げ、
  2. 人間が「ブランド基盤(Step 4)」という基本方針を定め、
  3. AIが「伝え方(Step 5)」の実行者として一貫性を担保し、
  4. AIが「評価(Step 7)」の冷静な分析者として改善を促す。

これこそが、中小企業が「らしさ」を失わずにAIを活用する、最も現実的かつ強力な実装フレームです。

弊社の実績において茨城県の老舗物流企業「櫻井運輸」様のブランディング支援では、代表へのヒアリングを重ね、企業の理念やスローガンを新規策定(Step 4)し、Webサイトや各種販促ツールを統一(Step 5)しました。結果、Web経由の新規問い合わせが増加しただけでなく、社員がデザイン選定に参加したことで社内コミュニケーションが活性化し、一体感の向上(インナーブランディング)にもつながっています。

このようにして策定された「理念」や「スローガン」こそが、AIが学習すべき最も価値あるデータとなります。AIは、この「土台」を増幅させ、浸透を加速させる役割を担うのです。AI時代に揺るがないブランドを構築するために、まずは自社の「ブランド基盤」を見つめ直すことから始めてみてはいかがでしょうか。

まとめ

本記事では、ID INC.の「ブランド構築の7ステップ」に基づき、中小企業がAIをブランディングに活用するための「3つの重要ポイント」について解説しました。AIは、明確なブランド基盤(ブランドの定義)があって初めて、その力を最大限に発揮します。

ID INC.(アイディ株式会社)は、単なるデザイン制作会社ではありません。中小企業やベンチャー企業の「らしさ」を見つけ出し、それを「強み」に変えるデザインファームです。私たちは、AI時代においても変わらない「ブランド基盤」をクライアントと共に構築します。ロゴ制作、理念構築、タグライン開発、Webサイト制作、オフィスデザインに至るまで、一貫したブランド体験を設計することで、企業の持続的な成長を支援します。

「自社らしさが何か分からない」
「AIを導入したいが、その前に軸を固めたい」

そのようなお悩みをお持ちの経営者、ご担当者様は、ぜひ一度ご相談ください。

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